こんにちは。桐谷です。
おうち英語から、少しずつ「学びとしての英語」へと移行し始めた頃、
我が子の口からこんな言葉がこぼれるようになりました。
「なんで英語やらなきゃいけないの?」
「なんのために英語を勉強するの?」
「英語、別にしゃべりたくない。」
それらの言葉に、私自身子どもと英語への関わり方に疑問を持つようになり、また、
子どもの気持ちを理解できていなかったことに落ち込みました。
そして、自問自答を繰り返しながら、迷いの中を手探りで進んでいたように思います。
あれから5年。上の子はこの春、高校1年生になりました。
子供の気持ちを聞きながら、今改めて振り返ってみると、あの時の言葉の背景と、私自身が迷っていた理由が、今でははっきり分かるのです。
それは当時の私が、「英語はきっと将来役に立つから」と、どこか義務のように日常に英語を取り入れていたから。
英語を学ぶ意味や言葉の本質について、心から語れるほど深く考えていなかったからなのです。
だからこそ今、あのときの子供の言葉を、おうち英語のその先を考えている皆さんに、ここでシェアしたいのです。
――「なんのために英語をやるの?」
お子さんにそう尋ねられたら、あなたならどう答えますか?
英語をやる意味──それは「点数」でも「資格」でもない
たとえば、こんな風にして――
ママ友との会話やSNSでの投稿、教育特集の記事などをきっかけに、
「そろそろうちも英語を始めた方がいいのかな」
「将来の受験や就職に有利なのかな」
「〇〇ちゃんもやっているから」
そんな風にして、気づけば、小さな絵本やオンラインレッスンが生活の中に入り込み、
気がついたら英語学習が当たり前になっていたというご家庭も少なくないと思います。
もちろん、それらもきっかけとしては十分です。
でも、いつしか子どもはそれを疑問に思うかもしれません。
「なんで英語をやらなくちゃいけないの?」
もし英語を競争のための道具や評価されるスキルとしてだけ見ていたら、
子どもにとって英語はただの「負担」になってしまいます。
子どもが納得する答えは、「親の本音」の中にある
たとえば、こんな答えがあるかもしれません。
「ママはね、あなたが世界のいろんな人と話せるようになったら素敵だなって思うんだよ。」
「英語を知っていると、世界のニュースや文化がもっと身近に感じられるようになるよ。」
「いつか、自分の考えを英語で伝えられたら、それってすごいと思わない?」
もちろん、これらはどれも完璧な正解ではありません。
けれども、親自身の「願い」や「思い」がこもった言葉には、力があります。
子どもが知りたいのは、正解ではなく、あなたがどう思っているかなのです。
「英語をやる意味」は、こうして育てていける
言葉には、意味が必要です。
けれど、意味とは与えられるものではなく、育てていくものです。
だからこそ、家庭でできることはたくさんあると思うのです。
英語を「世界とつながる言葉」として見せる
英語の映画や動画を見たあと、「どこの国の子だと思う?」「なんで〇〇って言ったんだろうね」と積極的にかかわってみたり、
世界の子どもたちがどんな学校に通っているかを一緒に調べてみたり、
海外の人と出会う機会を作ってみたり。
「英語=世界につながる手段」だと体感できたとき、子どもは自然に意味を見出しはじめると思うのです。
英語で「自分のことを話す」練習をしてみる
たとえば、こんなふうに声をかけてみるのはどうでしょう?
“What do you like?”
(あなたの好きなものは何?)
“What made you happy today?”
(今日はどんなことがあって嬉しかった?)
“Tell me about your favorite memory.”
(あなたの一番好きな思い出を教えて)
日本語で返事が返ってきても良いのです。
お母さん自身が「英語の練習をしてる」ことにして、実際に日常会話に取り込むことで、
「英語=テストのため」ではなく、「英語=自分を伝えるもの」という感覚が少しずつ育っていきます。
「なんのためにやってるんだろうね?」と、親も一緒に考えてみる
「たしかに、なんのためって考えるのって大事だよね」
「ママも考えてみようかな」
「あなたはどう思う?」
この姿勢が、子どもにとっての最大のメッセージになります。
- 英語は考えるもの
- 英語は話し合えるもの
- 英語を学ぶ意味は、自分の中にあるもの
だからこそ、「英語を学ぶ意味」は、誰かから与えられるものではなく、
親子で一緒に見つけていく問いそのものなのかもしれません。
最後に
「あなたは、子どもに、英語って楽しいよと言えていますか?」
「英語を通して、どんな未来を子どもに贈りたいと願っていますか?」
英語を学ぶ意味は、教科書にも、正解集にも載っていません。
けれど、それはきっと――
あなたの心の中には、もうきっとあるはずです。
その思いを、あなたの言葉で、まっすぐ子どもに伝えられたとき、
英語は「勉強」ではなく、
子ども自身の声を育てるための、生きた力へと変わっていくと思うのです。