「中学校から英語が嫌いになる」現象は、なぜ繰り返されるのか?──その背景と、私たち親にできること

こんにちは。桐谷です。

「小学校までは英語が好きだったのに…」
「中学になって急に嫌いって言い出して」
「単語の暗記と文法ばかりで、つまらないって…」

こうした声を、耳にされたことはありませんか?

実はこれ──
毎年、全国の中学校で静かに繰り返されている現象なのです。

ではなぜ、英語が嫌いになるタイミングが、中学校なのか?
そして、どうすればこの流れを断ち切ることができるのでしょうか?


なぜ「中学校から英語が嫌いになる」子が多いのか?

理由は、大きく3つあります。

「評価される言語」になるから

中学の英語は「成績がつく教科」としての英語。
テスト、点数、順位、合否──
子どもにとって英語は「楽しむもの」から「評価されるもの」に変わります

その途端、

「間違えたらどうしよう」
「文法が合ってないと×になる」
「話すのが恥ずかしい」

と、英語を「使う」こと自体にブレーキがかかりはじめるのです。


「正解のある英語」が中心になるから

教科書の英文を覚える。
文法のルールを当てはめる。
選択肢の中から「正しい」ものを選ぶ。

これが中心になると、英語は「自分の気持ちや考えを伝える道具」ではなく、
パズルを解くようなものになります。

  • 話してみる勇気より、正しさが重視される
  • 伝わったかどうかより、文法の正誤が判断される

こうして、「英語=正解を出す科目」になってしまうのです。


「意味のない暗記」に追われるから

テスト対策のために:

  • 英単語をひたすら書いて覚える
  • 熟語や文型を暗記する
  • リスニングは“聞き取れた単語”を答えるだけ

その結果、「英語=覚えるだけの教科」になり、意味を見失ってしまう子が増えていきます。


子どもたちが失っているのは、「言葉と心のつながり」

小学生のころは、英語の歌に笑い、ゲームを楽しみ、
知っている単語を口にすることがうれしかった。

でも中学以降は、「感情」や「好奇心」とのつながりが切れてしまう。

つまり、英語から「心が離れてしまう」のです。


英語を嫌いになる前に、家庭でできること

中学校で「英語=教科」としての側面が強くなるのは、ある意味仕方のないこと。
でも、家庭での「言葉との関わり方」が変われば、子どもは英語との距離を保ち続けることができます。

ここからは、英語を嫌いになる前にできる、3つの家庭での工夫をご紹介します。


「英語で何を話したいか」を問いかけてみる

英語を「使う」という感覚を育てるために、こんな問いかけを親子で楽しんでみてはいかがでしょうか。

“If you could go anywhere, where would you go?”
(どこへでも行けるとしたら、どこに行ってみたい)

“What’s your favorite memory?”
(一番好きな思い出って、どんなこと?)

“What would you do if you were invisible?”
(もし透明人間になれたら、何をしてみたい?)

答えのない英語に触れる時間を持つことで、
「英語=自己表現の手段」としての感覚が育ち始めます。


間違えても「笑い合える」英語の場をつくる

中学校の英語では、「間違えないこと」が評価される場面が増えていきます。
だからこそ、家庭の中では、その逆の体験を大切にしてあげたいのです。

  • 発音がたどたどしくても、「伝わったね!」と笑い合える。
  • 単語だけの片言でも、「思い切って言ってみたね」と認められる。
  • 会話がちぐはぐでも、「なんだか面白かったね」と一緒に楽しめる。

そんな空気の中で、子どもは「間違えても大丈夫」と思えるようになります。
英語を完璧に話すことよりも、“話してみよう”と思える気持ちのほうがずっと大切。

間違いを「笑っていいもの」として受け止められる経験は、
言葉に挑戦する勇気を、子どもの中に静かに残していきます。


「正しさ」より「伝わる楽しさ」を共に味わう

英語は、点数を取るための道具ではなく、
誰かとつながるための橋。

「この表現、通じたよ!」
「自分の言葉で言えたね!」
「気持ちを伝えられたんだね!」

こうした体験が、「英語が嫌いにならない根」を家庭の中に育ててくれます。


最後に

「あなたのお子さんは、英語を「正解のある教科」として見はじめていませんか?」

英語の楽しさは、「知っているか」ではなく、
「言ってみたいと思えるかどうか」に宿ります。

中学英語でつまずく子どもたちが減る未来をつくるために。
今、家庭で育てられる英語との健やかな関係が大切になってくるのです。