「英語は早く始めれば安心」って本当?──おうち英語の落とし穴と向き合う

こんにちは。桐谷です。

お子さんの英語教育について考えたとき、
誰もが一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。

「英語は早く始めた方がいいって、よく聞くし…」
「小さいうちにやれば、きっと将来話せるようになる」
「今やらなきゃ、もう手遅れかも…」

そして、どこかでこんな感情がわいてくることもあります。

「うちは始めるのが遅かったのかな」
「周りの子に追いつけるか心配」
「もっとやらせた方がいいのかも…」

でも、ここでひとつ立ち止まって考えてみませんか?

英語を早く始めたら、それで本当に安心できるのでしょうか?
早く始めることが、子どもにとって豊かな学びにつながっているでしょうか?


たしかに、早く始めることで得られる利点はある

科学的にも、幼児期の言語吸収力は高いと言われています

  • 音に対する感受性
  • 模倣力
  • 恥ずかしさのない発話の積極性

確かにそれらは、英語に自然に親しむための「入り口」としては、大きな強みです。

でも、英語の学びはスタートの早さだけで決まるものではありません

むしろ──
「どんな姿勢で学び続けられるか」「どんな感情で英語と向き合うか」が、
将来的な「本物の英語力」に深く影響していくのです。


「早ければ安心」は、時に落とし穴になる

ここからは、おうち英語においてよくある「3つの落とし穴」を見つめてみましょう。


❶ 落とし穴:英語を「やらせるだけの時間」になってしまう

英語の動画を見せて、アプリで遊ばせて、英会話に通わせて…。

でも、子どもがただ受け身でインプットされているだけでは、
「英語を学んでいる」のではなく、「英語に触れているだけ」になってしまうことも。

🔍 見直しのヒント:

「子ども自身が話したいと感じる瞬間はあるか?」
「英語を使って自分を表現する場面があるか?」


❷ 落とし穴:「できる・できない」で焦ってしまう

「まだ話さない」「単語しか出てこない」「あの子はもう英検◯級…」

他の子と比べて焦ると、評価されるための英語になってしまい、
子どもが「英語に疲れる」ことすらあります。

🔍 見直しのヒント:

「うちの子は、どんなときに英語にワクワクしているか?」
「学びの速度ではなく、質に目を向けられているか?」


❸ 落とし穴:親が「これで安心」と、止まってしまう

「早く始めたからもう大丈夫」
「英会話に通ってるから安心」
「英語の絵本を毎日読んでるし」

それは、安心ではなく思考停止かもしれません。

英語の学びは、いつ始めたかではなく、
「どんな関わりを続けているか」で育ちます。

🔍 見直しのヒント:

「この子は今、英語をどう感じている?」
「親として、どんな空気でこの言葉を育てている?」


英語の始めどきより大切な、「育て方の質」

英語は、時間をかけて育つ「ことば」です。

  • 自分の考えを英語で話す力
  • 英語で感情を伝える力
  • 英語で相手の言葉を受けとめる力

これらは、単語を覚えることやフレーズを真似することでは育ちません。

🌱 それは、

  • 間違っても笑っていい空気
  • 伝わったら一緒に喜べる経験
  • 自分の「好き」や「考え」を英語にする練習

こうした、言葉とのあたたかい関係の中で、少しずつ根を張っていくのです。


最後に

「早く始める」ことで、本当に安心したいのは、誰でしょうか?
そして、その「安心」は、子どもの学びの自由を広げていますか?それとも、狭めていますか?

おうち英語に必要なのは、焦りでも、早さでもなく──
「この子が、英語を自分のことばとして育てていけるかどうか」に向き合うまなざしなのです。