「間違えたら恥ずかしい」は日本の文化?──子どもの英語に悩んだら、自分自身の「英語の記憶」と向き合おう

こんにちは。桐谷です。

お子さんの英語学習を見守るなかで、
こんなことを感じたことはありませんか?

「英語の単語は知っているのに、声に出そうとしない」
「正しいかどうか気にして、自信がなさそうに話す」
「間違うのが怖くて、最初の一言がなかなか出てこない」

もしかすると、
それは単なる性格の問題ではなく、
日本に根づいた学び方の文化が、子どもの背中を押しとどめているのかもしれません。
そしてその文化は、実は、親である私たち自身の中にも深く残っているものだったりするのです。


「間違えたら恥ずかしい」は、どこから生まれている?

日本の学校教育では、長い間、
「正確に答えること」が評価の中心に置かれてきました。

  • 答えが合っていなければ×がつく
  • 間違えれば「恥ずかしい」と感じる
  • 人前で発表するなら、失敗は許されない

この空気は、教室の中だけでなく、
社会全体に、静かに染みついています。

そしてその中で育ってきた私たち大人が、
知らず知らずのうちに「正しさ」を何よりも重視してしまうのは、ある意味、自然なことです。

それは責められるべきことではなく、
ただ、そういう空気の中で、私たちも学んできたからなのです。


親の中にある「英語の記憶」が、子どもの学びに影響する

たとえば、お母さん自身が中学・高校で英語を学んでいた頃。
こんな経験はありませんでしたか?

  • 答えを間違えて笑われたこと
  • 自信がなくて、声に出すのをためらったこと
  • 発音が恥ずかしくて、小さな声でしか話せなかったこと

それらは、もうただの学習経験ではありません。
感情と結びついた、深い記憶として、心に残っているのです。

そして今、お子さんが英語を学ぶ姿を見たとき、
その記憶が、静かに思い出されてはいないでしょうか。

  • 思わず間違いをすぐに直してしまう
  • 文法的に違うと気になって口を挟んでしまう
  • 「正しく話せるようにしなくちゃ」と、心が少し焦る

でも、それは決して「あなたが間違いを許せない親だから」ではありません。

あなたの中にある「かつての学びの痛み」が、
今もなお影を落としているだけ
なのです。

もしそうなら、その気持ちを責めなくて大丈夫です。
気づけたこと自体が、すでに次の世代に新しい学びの形を届ける第一歩になるのです。


英語は「間違えるもの」──その価値観に変えていく勇気

実は、英語を本当の意味で「自分の言葉”として使っている人たちは、
間違えることを恐れていません。

  • 話しながら、文を組み立てる
  • 伝わらなければ、言い換えてみる
  • 相手と一緒に意味を探りながら、理解を深める

それが、「生きた英語」の姿です。
そこには“正しさ”ではなく、「伝えたい」という気持ちが中心にあります。

「間違えてもいい」ではなく、
「間違えてこそ、学べる」──

そんな価値観を、
私たち親世代から少しずつ育てていくことこそ、
おうち英語の本当の意味での価値なのかもしれません。
とが、
おうち英語の最大の価値かもしれません。


自分自身の「英語の記憶」と向き合う3つの問い

子どもに英語を学ばせる前に、
少しだけ、自分の心の中にも目を向けてみませんか?

① 英語を「楽しい」と思えた経験はあった?

  • それは、どんな場面でしたか?
  • どんな言葉が心に残っていますか?
  • 誰と、どんなふうにやりとりをしていましたか?

② 「英語が苦手だ」と感じたのは、いつ・なぜ?

  • その感覚は、どんな空気の中で生まれましたか?
  • 誰の言葉が、どんな表情が、その気持ちに影響しましたか?

③ 今の自分は、英語にどんな感情を抱いている?

  • 恥ずかしさ? 憧れ? 劣等感? あきらめ?
  • それは今も、自分の中に残っていますか?

この問いに、正解はありません。
でも、向き合ってみることそのものが、大きな変化の始まりになります。

親自身が、英語との関係を少しずつ変えていくことで
子どもにかける言葉も、見守る目も、きっとやさしく変わっていくはずです。


おうち英語で「間違いを許す文化」を育てるヒント

「間違えてもOK!」を合言葉に

子どもが話そうとしたときに、こんな言葉をぜひ届けてあげてください。

「いいね、伝わったよ」
「英語で言おうとしてくれてうれしい」
「間違いなんて気にしないで!」

安心できる空気こそが、子どもの中に「話してみよう」という意欲を育てていきます。


親自身が「完璧じゃない英語」を見せる

たとえば・・・
“I don’t know the word, but… I’ll try!”
“Let’s figure it out together.”

うまく言えなくてもいい。
大切なのは、「英語を通じて伝えようとする姿勢」を見せること。

その背中こそが、子どもにとって一番リアルで信頼できる教材になります。


「正しさ」より「伝えようとする心」を認める

子どもが単語だけで話しても、文法が違っていても──

「今の言葉、すごく素敵だったね」
「あなたの気持ち、ちゃんと伝わったよ」

伝わったという実感が、英語を話す喜びを何倍にもしてくれます。


最後に

あなたの中にある英語への「恥ずかしさ」や「不安」は、
今も静かに、心のどこかに残っていませんか?

そしてそれは、気づかないうちに、
子どもにも受け継がれてしまっているかもしれません。

でも大丈夫です。
親が自分の「英語の記憶」と向き合いなおしたとき、
子どもの学びは、もっと自由に、のびのびと広がっていきます。

英語を間違えることは、失敗ではありません。
むしろ、その一歩が、世界とつながる入り口になるのです。