世界の子どもたちは、英語で何を語っているのか?

こんにちは。桐谷です。

今日は、皆さんと一緒に考えてみたいことがあります。

「世界の子どもたちは、英語で何を語っているのか?」

一度、目を閉じて想像してみてください。
今、どこかの国の同世代の子どもが、英語で話している光景が思い浮かびますか?

その姿に、ワクワクしますか?
それとも、少し焦りや不安を感じるでしょうか?

私たちは日々、
「英語が話せるようになってほしい」
そう願いながら、絵本を読み聞かせたり、英語の動画を見せたり、英会話を習わせたりしています。

でも、ここで一度、立ち止まって問い直してみたいのです。

「英語が話せること」と「英語で語れること」は、同じでしょうか?

ただ単語を並べるだけでは、会話にはなりません。
大切なのは、英語を通して何を伝え、どんな対話ができるかという視点です。

私たちが目指すべき英語力とは、
世界と心を通わせ、考えや想いを交換し合える力ではないでしょうか。


英語は「話せるか」より、「何を話すか」が問われる時代に

ひと昔前、英語を話せることは、それだけで「特別なスキル」として扱われていました。
けれども令和の今、世界はすっかり変わりました。

世界中の子どもたちが、英語を「勉強するもの」から、
「使って対話するもの」へと変化させながら日々成長しています。

彼らは、英語を使って

  • 自分の意見を語り、
  • 社会の課題について調べ、
  • プレゼンをし、ディスカッションをし、
  • 異なる文化や価値観を持つ人々と、考えを交わしています。

もはや英語は、単なる言語ではなく、
「思考を形にし、世界とつながるためのツール」となっているのです。

これからの時代に求められるのは、
ただ話せることではなく、語る中身を持っていること。
英語の力とは、テストの点数や発音のきれいさではなく、
「自分の考えを持ち、それを相手に伝える力」なのだと、世界の子どもたちは教えてくれます。


日本の子どもたちは、英語で「自分の考え」を語れるだろうか?

日本の英語教育には、いまだに「正しさ」を重んじる文化が根強く残っています。
文法や語順、発音の正確さは重視されても、
「あなたはどう思う?」「なぜそう思ったの?」という問いかけがなされる機会は、決して多くありません。

では、私たちが家庭で行う「おうち英語」ではどうでしょうか?

  • 英語で会話する時間はあっても、子どもの考えを引き出す対話になっているでしょうか?
  • 英語の絵本を読む時間はあっても、英語の動画を見せる機会はあっても、その内容について感じたことを語る場はあるでしょうか?

英語は、言葉であると同時に、思考のツールです。
だからこそ、ただ「言える」ことよりも、
英語で考え、英語で語る力こそが、これからの時代を生きる子どもたちに求められています。

文法が多少間違っていても、単語が足りなくてもかまいません。
自分の意見を言葉にすること。
そのプロセスそのものが、世界とつながる第一歩なのです。


世界の子どもたちが話しているトピック(実例)

海外の教育現場では、子どもたちが日常的に、こんなテーマで英語による対話を行っています。

  • “How can we protect the environment?”
     (環境を守るには、私たちに何ができる?)
  • “What does friendship mean to you?”
     (あなたにとって友情って、どんなもの?)
  • “Is technology helping or hurting our lives?”
     (テクノロジーは、私たちの生活を良くしている?それとも悪くしている?)

こうした問いに対して、子どもたちは「正しい答え」を探しているのではありません。
自分の感じたことや考えたことを、自分の言葉で語る練習をしているのです。

しかもこれらは、中学生や高校生の話ではありません。
10歳前後の子どもたちが、当たり前のように「英語で社会を考える視点」を身につけているのです。

英語を話すことはゴールではなく、
世界と向き合い、対話し、行動を起こしていく入口に過ぎません。

そんな教育が、今この瞬間にも世界の教室で行われていることを、
私たちは一度、しっかりと受け止めてみる必要があるのかもしれません。


おうち英語で「語る英語」を育てるためのヒント

「英語で考え、英語で語る」
そんな世界の教育現場の取り組みを、家庭でも少しずつ取り入れることは可能です。
特別な教材や完璧な英語力がなくても、日常の中に「問い」を差し込むだけで、子どもの思考は静かに動き始めます。

たとえば、こんな問いかけを、日常の中で英語で投げかけてみてください。

  • “What do you think?”(あなたはどう思う?)
  • “Why do you think so?”(どうしてそう思ったの?)
  • “What would you do if you were in that situation?”(もし君だったらどうする?)

ポイントは、「正しい英語を話すこと」ではありません。
感じたことや思ったことを、自分の言葉で表現してみる
その小さな経験の積み重ねが、「語れる英語」への土台を作っていきます。

英語がたどたどしくても、単語だけでも大丈夫。
思考の芽は「話してみること」から、確かに育っていきます。


私たちの子どもたちは、語る準備ができているだろうか?

今、英語は「評価されるスキル」から、「生きるための力」へと変化しています。
未来を生きる子どもたちは、きっと国や文化、立場の違いを超えて、誰かと手を取り合い、
ともに考え、ともに課題を解決していく場面に数多く立ち会うことになるでしょう。

そのとき本当に求められるのは、
「話せる英語」ではなく、「語る中身を持った英語力」です。


最後に

「世界の子どもたちは、英語で何を語っているのか?」
そして
「私たちの子どもたちは、英語で何を伝える準備ができているでしょうか?」

これらの問い答えが、すぐに見つかるわけではありません。
けれども、この問いを心の片隅にそっと置きながら、
日々家庭での英語の時間を見つめ直してみること。

それだけで、英語は単なる勉強ではなく、
子どもが世界とつながるための力を育む、大切な「対話の時間」へと変わっていきます。

今日、あなたが子どもにかけるひと言が、
やがて「語る力」「伝える勇気」の芽となり、未来の選択肢をひらいていくかもしれません。

おうち英語は、「話せる子」を育てる場所という役割だけではなく、
「自分の言葉で世界と向き合える子ども」を育てる力を、親の手に託す場所でもあるのです。